オタ福の相談部屋

あなたの主治医はどう言いましたか?

肥満細胞腫と扁平上皮癌の違いについて

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【目次】

 

【質問内容】

動物:犬種はメスのシーズー。10歳齢です。

下顎の皮膚(口腔内ではない)に病変を見つけ、ネットなどで検索した結果、肥満細胞腫ではないかと疑いました。

動物病院へ連れていったところ、外科的切除を行い、抗がん剤治療中です。

病理検査の結果、肥満細胞腫ではなく扁平上皮癌のⅡと言われました。

どちらも癌には変わりありませんが、特徴等も同じなのでしょうか?

 

 

【回答】

肥満細胞腫と扁平上皮癌の違いについて

【由来】肥満細胞腫vs扁平上皮癌

まず、由来から話したいと思います。

肥満細胞腫

肥満細胞腫の由来は肥満細胞です。

肥満細胞は血液中に含まれている免疫を司る細胞で、アレルギーや寄生虫に感染した時に仕事をします。

こういった血液成分の細胞が腫瘍化したものを『独立円形細胞系腫瘍』と言います。

 

扁平上皮癌

一方、扁平上皮癌の由来は表皮の細胞です。

表皮にある細胞による腫瘍で、基底細胞や有棘細胞を中心に癌化しています。

こういった皮膚や腺などの上皮が腫瘍化したものを『上皮系腫瘍』と言います。

 

まとめ①

肥満細胞腫:血液成分が腫瘍化したもの

扁平上皮癌:表皮成分が腫瘍化したもの

 

【予後】肥満細胞腫vs扁平上皮癌

肥満細胞腫

肥満細胞腫は完璧に取りきれるか、細胞の悪性度によって予後が異なります。

低グレードで、綺麗に切除できた場合は再発率は低いです。

予後はおそらく良好です。

肥満細胞腫はできる場所や腫瘍細胞のグレードによって予後は大きく異なるため、一概に良好とは言えないでしょう。

 

扁平上皮癌

扁平上皮癌はリンパ節転移や遠隔転移は比較的遅いと言われています。それゆえ、外科的に切除した後は抗がん剤などのコントロールによって、再発する可能性を下げることができるでしょう。

つまり、予後は良好です。

ただ、腫瘍が皮膚の深くまで浸潤しており、腫瘍を外科手術によって完璧に取りきれていなかった場合は再発のリスクがあることは知っておいてください。

 

 まとめ②

肥満細胞腫:おそらく予後良好

扁平上皮癌:完全切除できていれば、予後良好

 

【治療法(抗がん剤)】肥満細胞腫vs扁平上皮癌

 これら2つはともに体表にできやすい腫瘍であり、第一選択として外科的切除が選ばれます。

その後、抗がん剤治療をすることで、再発をコントロールしていきます。

しかし、これら2つの腫瘍では治療法が全く異なります。

 肥満細胞腫

肥満細胞腫は抗がん剤治療は

プレドニゾロンというステロイド薬

ビンブラスチンあるいはロムスチンという抗がん剤

を投与します。

つまり、

『プレドニゾロン+ビンブラスチン』

あるいは、

『プレドニゾロン+ロムスチン』

です。

肥満細胞腫ではプレドニゾロンが有効であると言われています。

 

扁平上皮癌

一方の扁平上皮癌では

ピロキシカムというNSAIDs(非ステロイド性消炎剤)

カルボプラチンあるいはトセラニブという抗がん剤

を投与します。

これも

『ピロキシカム+カルボプラチン』←完全切除後+補助療法の場合

あるいは、

『ピロキシカム+トセラニブ』←切除不完全の場合

です。

一番大事なことですが、扁平上皮癌では肥満細胞腫で有効とされているプレドニゾロンが効かないです。

また、上皮系腫瘍は抗がん剤が効きにくいというのも有名です。

 

綺麗に切除して、補助療法を行う場合、

メリットよりもデメリット(副作用、労力、費用)の方が多いかもしれません。

 

まとめ③

肥満細胞腫:プレドニゾロン+ビンブラスチン

扁平上皮癌:ピロキシカム+カルボプラチン

 

【オタ福の見解】

 

肥満細胞腫と扁平上皮癌の違いを中心に解説していこうと思います。

まずは見られる外見が違います。

肥満細胞腫は無毛性で赤いドーム状の腫瘤がポコっとできていること多いです。

一方で、扁平上皮癌は腫瘤のようなものはなく、カサブタや爛れたようなものができていることが多いです。

確かに、肥満細胞腫でもダリエ徴候という現象が起きれば、炎症が起きたような病変が見られることもあります。

しかし、肥満細胞腫と現場で仮診断を行うならば、次の検査を必ず行うはずです。

 

次に、肥満細胞腫だと疑っていた場合は必ずFNA(針を病変部に刺して、細胞成分をみるもの)を行うと思います。

FNAでは肥満細胞腫は大型円形で細胞質内に顆粒をもつ血球細胞が見えます。

一方で、扁平上皮癌は大小不同の細胞質をもつ上皮細胞が見えます。

 

そして、この2つでは薬物療法における治療の方針は大きく変わります。

先ほど治療法の項で述べたように扁平上皮癌は肥満細胞腫で有効なプレドニゾロンが効かないです。

同じ悪性腫瘍ですが、薬物療法1つとっても治療戦略が大きく異なるため、しっかりと病理検査を行って、腫瘍の正体を明らかにすることは大切なことなのです。

 

【肥満細胞腫の詳しい解説】

肥満細胞腫の詳しい解説はこちら↓↓

一番多い、皮膚の『肥満細胞腫』って?

 

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