【目次】
【質問内容】
『こんばんは。
またブログ記事に質問させて頂いてもよろしいでしょうか?
先程アップされた表在性膿皮症に関してです。
うちのシニアチワワ(14歳)は、よく指の間を舐め続けてしまうクセがあり指の横がハゲてしまうことがあります。
こういったものも、表在性~になるんでしょうか?
また、以前にうちもニキビ的なものができ、フケや円脱に似た症状にもなった記憶があるのですが…。
その際はマラセブやノバルサンのシャンプー出されると治ったかなと思っていました。
よく皮膚のかゆみやフケあるタイプを申告すると、真菌系ですねといわれ、これらのシャンプーだされますが、表在性~は全く別もの皮膚疾患という認識で良いのでしょうか?』
【回答】
まずは質問内容の元ネタになっている『表在性膿皮症』についてはこちらをご参考下さい↓↓
いかがでしたでしょうか?
表在性膿皮症について少し分かってもらえたかな?
ではでは、回答に移りたいと思います^-^/
表在性膿皮症とは
何らかの原因により、皮膚バリアの崩壊
↓
皮膚にいた常在菌を抑えきれなくなる
↓
表皮内で細菌感染が発症する
といって結構シンプルな病気です。
表在性膿皮症の一番のネックは『皮膚バリア崩壊の原因』です。
皮膚バリアが崩壊する原因としては
・アトピー性皮膚炎がある
・食物アレルギーがある
・ステロイド薬などの免疫抑制剤を内服している
などなど詳しくは語り部屋で挙げているので、そちらをご参考にして頂けたらと思います。
質問者さんのチワワは指を舐める癖があるとのことです。
指を舐めると慢性的・物理的に皮膚が刺激されるので、やはりこの場合も皮膚バリアの崩壊に繋がると思います。
もしかしたら、表在性膿皮症の原因菌である『Staphylococcus pseudintermedius』の感染が起きていたかもしれません。こればっかりはその時に検査してないとわからないでしょう。
動物病院に連れて行った結果、獣医から真菌系の皮膚炎と診断されています。
皮膚の検査でよく使うのはスライドガラスを皮膚に押し付けて、それを染色し、顕微鏡で形態を観察するといったものです。
この検査で細菌か真菌かは大体わかります。
真菌系で表面病変を引き起こす皮膚炎で有名なのは3つあります。
①マラセチア皮膚炎
②皮膚糸状菌症
③カンジダ症
1つ1つ簡単に解説していきます。
①マラセチア皮膚炎
この真菌は主に耳でみられ、「耳を痒がる」「耳から変な臭いがする」などといった主訴で来院され、検査すると「マラセチアがいた」ということがほとんどのパターンです。
ただ、皮膚などの全身に見られることもしばしばあります。
外用薬として抗真菌剤入りのシャンプーを使うことで、治ります。
②皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌が角質層や毛包内に侵入し、増殖すると起こる皮膚炎で、最大の特徴は「接触によって人にも感染する真菌」であるということです。
症状は円形の脱毛や紅斑が見られます。
毛検査と呼ばれる毛を数本抜いてそれを顕微鏡で観察し、皮膚糸状菌を発見するといった検査で診断できます。
これも抗真菌剤入りシャンプーで対処します。
③カンジダ症
カンジダ属菌の感染によって起こります。この皮膚炎の特徴は基礎疾患に皮膚バリアを崩壊させる何らかの原因があるということです。
そして、めちゃくちゃ痒い…
カンジダ症の治療はシャンプーではなく、内服する抗真菌薬が基本的な治療となります。
以上、考えられる真菌症3つを解説しました。
表在性膿皮症は細菌感染であり、本症例のチワワは表在性膿皮症ではないと思います。
真菌系皮膚炎は上記の3つがメインとなります。ご参考にしてみて下さい。
【オタ福の見解】
僕がちょっと気になるのは
なぜ指を舐めていたか?ということです。
何か舐めなければならない原因があり、その結果二次感染として、真菌症に感染したと考えられます。
分離ストレスについて
皆さんは『分離ストレス』というものご存知でしょうか?
よく赤ちゃんが母親と離れ離れになると泣き出すアレです(笑)
愛着のある人間や物と何らかの原因で引き離されると、急に不安になってしまう心理状態です。
この分離ストレスは
赤ちゃんだけでなく、失恋した人や戦地へ遠征に行っている兵士などでも見られます。
そして、人と繋がりを強く持つ『犬』でもそれがあります。
このチワワは飼い主さんにとても懐いていて、大好きなんだと思います。
飼い主さんが出かけたり、構ってくれなくなると分離ストレスを感じ、そのストレスのやり場として、指を舐めるという行動を起こしているのではないでしょうか?
四六時中可愛がるのは難しいと思いますので、遊んであげられない時は夢中になるようなオモチャを渡してあげるなどして、わんちゃんの気をまぎらわせてあげるのも1つの方法です。
【病気の徹底解説は『オタ福の語り部屋』まで】
オタ福の語り部屋では『獣医学の追求』をスローガンに徹底的に病気を解説しています。ぜひ、遊びに来て下さい。
【病気の個別相談は『オタ福の質問箱』まで】
かかりつけ医がいる飼い主さん限定で個別に相談を受け付けています。
「うちの子、似たような病気かも…」など
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