オタ福の相談部屋

あなたの主治医はどう言いましたか?

前立腺がんで非ステロイド性消炎剤を処方されています。副作用と効果は何ですか?

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【はじめに】

今回は『前立腺がんで処方されているお薬について』のご質問です。
質問者さんのペットは前立腺がんと診断を受け、ロベナコキシブという消炎剤を処方されています。この薬は前立腺がん(前立腺癌と移行上皮癌)で治療効果があるとされているお薬です。特に移行上皮癌では。
今回はちょっと『はたらく細胞』チックな描写もあるので、ぜひ楽しんで読んでみて下さい^-^/

【目次】

 

 

【ご質問内容】

mix9歳去勢済オスの愛犬が昨年2月に画像診断と遺伝子検査の結果、前立腺に出来たガンと診断され、抗がん剤の選択はせず、今日まで消炎剤のみの治療で来ました。
昨年末より薬の副作用による胃腸炎で、現在は休薬中です。

質問は、 信頼している担当医が「副作用が少ない」と選んでくださった消炎鎮痛剤ロベナコキシブについてなんです。 調べてみると選択的cox2型阻害薬とあります。
更に知りたくて調べた所、移行上皮ガンが炎症するときにcox2型がどうもワルであるとたどり着いたんですが、その仕組みを知りたいです。
教えて頂けませんでしょうか?

 

【回答】

『非ステロイド性消炎剤の仕組みとは』

回答を進めて行く前に非ステロイド性消炎剤(NSAIDs)とはどういったものなのかを簡単にお話しします。

NSAIDsの仕組み
非ステロイド性消炎剤(NSAIDs)はPGを生成する酵素であるCOXをブロックすることで炎症を抑えましょうというお薬です。

COXとは
COXとはシクロオキシゲナーゼと呼ばれる酵素の略称で、PG中間体を生成する酵素です。PGとはプロスタグランジンの略称で、何種類か存在し種類によっては炎症を引き起こす物質となります。

非ステロイド性消炎剤(NSAIDs)の作用(図解)

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『COXには1と2がある⁈』

ちょっと遊び心を入れて『はたらく細胞』チックに解説してみますね(笑)

炎症物質であるPGの生成を助けているCOX、
実は兄弟がいるんですね。分かりやすいように"長男"と"次男"としましょう(笑)

長男のCOX-1君は普段から出社している人で、主に消化管の粘膜を保護する仕事をしています。
一方、
次男のCOX-2君は普段ゴロゴロしているのですが、サイトカインからやエンドドキシン君らから「炎症を起こしなさい」と指令が入ると出社します。主な仕事はPGの産生を助けることです。彼が出社すると炎症が起こると社内では『炎症性COX』なんてあだ名がつけられています。

COX兄弟のプロフィール(図解)

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そして、『消炎剤』は電車としましょう!
通常の非選択的消炎剤は兄弟の乗る共通の電車が止まってしまいます。
そうですね、イメージとしては関空快速!
関空快速は日根野駅で関空行きと和歌山行きに分かれます。通常の非選択的消炎剤は日根野駅の手前で電車が止まってしまうわけです。

ですが、COX-2選択的阻害消炎剤は日根野駅以降のCOX-2君(弟)が乗る電車を止めるのです。だからお兄さんのCOX-1君は無事出社し、消化管粘膜を保護する仕事ができるのです。

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『COX-2選択的阻害剤の利点』

はたらく細胞チックの解説は終了です笑

COX-1が消化管粘膜を保護する酵素であるのに対し、
COX-2は炎症に関与する物質を産生する酵素です。
非選択的消炎剤を使用した場合、胃粘膜の炎症が強く出てしまうのはCOX-1も阻害してしまっているからなんですね。

一方で、COX-2選択的阻害剤の場合、COX-2を優先的に抑制するので、胃潰瘍が起こりにくいんです。
そういう意味で、メリットがあります。

質問者さんが処方されたロベナコキシブはCOX-2選択的阻害消炎剤です。

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『前立腺がんではCOX-2阻害剤が有効⁈』

「前立腺がんと前立腺癌の違い」

簡単な言葉の定義の違いです。
前立腺に発生した腫瘍のこと全般を前立腺がんと言います。
そして、前立腺癌は前立腺細胞由来の悪性腫瘍を言います。
何がどう違うかというと、前立腺がんは前立腺に発生するという"場所"を示しており、前立腺癌は腫瘍の種類を示しています。
ごっちゃにならないように注意して下さい。

「前立腺癌とCOX2」

前立腺癌の腫瘍細胞である前立腺腫瘍細胞にはCOX-2がたくさん発現していることがわかっています。正常の前立腺細胞にはこういったCOX-2の発現は確認されないため、やはり異常です。さらなる研究ではCOX-2が生成するプロスタグランジンE2(PGE2)がガン化と促進しているのではないかと言われています。

こういった理由からCOX-2選択的阻害薬は前立腺癌で有効である可能性があります。 
前立腺癌について詳しく知る

「移行上皮癌とCOX2」

移行上皮癌の場合でも消炎剤は抗がん剤とセットでよく使用されており、膀胱由来の移行上皮癌での効果は多くの文献で実証済みです。前立腺由来の移行上皮癌でもよく使用されています。
移行上皮癌について詳しく知る

 

【最後に】

今回は前立腺がんでの消炎剤の効果と副作用について回答致しました。消炎剤はCOXという酵素を阻害していて、そのCOXにはCOX-1とCOX-2がいます。
これらのうちCOX-2を選択的に阻害する薬を使用すれば、胃腸炎などの副作用も減らすことができるかもしれませんね。

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