オタ福の相談部屋

あなたの主治医はどう言いましたか?

「止まらない下痢。考えること、やるべきことは?」

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【はじめに】

今回は『止まらない下痢。考えること、やるべきことは?』についてです。下痢はいろんな病気で見られる症状で、下痢が起こる原因は病気によって様々です。整腸剤を内服しても一向に下痢が治る気配がない場合、怖い病気が隠れているかもしれません。
今回はそんな下痢が止まらない猫ちゃんに対して行うべきことを回答しています。

 

 

【ご質問内容】

13歳の去勢雄の猫です。
下痢が止りません。近所の動物病院へ便のサンプル持って受診しましたが糞便検査の結果、菌はいないとのことで整腸剤を処方されました。
それから2週間ほど、毎朝夕ドライフードに猫缶をトッピングしたものに整腸剤をふりかけていますが下痢は止まりません。
なお、うちには合計8匹の猫と1匹の犬がいますが下痢しているのはこの子だけです。ガリガリに痩せてしまって心配です。治療法を教えてください。

 

【回答】

『下痢が出た時に考える病気について』

下痢にはたくさんの種類があります。それは量や頻度ではなく、血便の有無や体重変動があるか、水分はどのくらいなのか、何日続いているかなど、下痢の状態や持続期間、全身状態が重要になります。

原因疾患を考えることが大切な理由
下痢が見られた際に必ず考えなければならないのは何が原因かということです。下痢はいろんな病気に関連して起こる症状なので、その原因を明らかにしなければ、治療戦略を立てることができません。
原因を明らかにしないまま、治療を行なってしまうと、今回の場合のように整腸剤を服用しているのに一向になる気配がないという状態になってしまいます。
まずは原因疾患について考えてみましょう。

下痢を引き起こす原因疾患
・感染症:細菌性、ウイルス性、寄生虫
・IBD:主にリンパ球形質細胞性腸炎
・蛋白漏出性腸症:IBD、リンパ腫、リンパ管拡張症、寄生虫の迷入など
・食物アレルギー
・腫瘍:リンパ腫、腺癌、平滑筋腫
・急性膵炎:犬で多い
・胆管炎
・甲状腺機能亢進症:特に猫
・腐敗したフード
・特発性の急性下痢:一時的なもので数日で治る

などが考えられます。これらの病気を頭に入れつつ、検査を行なって、1つ1つ除外していき、診断を下していきます。

 

『まず、現状で考えられること』

手がかり①:糞便検査
糞便検査では細菌や寄生虫、出血など様々な情報を得ることができます。
現在の状況では動物病院にて糞便検査を行なった結果、悪さをするような病原体は検出されなかったようですね。
多頭飼育しているのに、この子だけが下痢を呈することからやはり感染症の可能性は少ないと思います。
これで感染症の可能性が除外できました。

手がかり②:整腸剤で治らない
整腸剤の主な働きとして
・胃腸の動きを整える
・粘膜に膜を張り刺激を軽減させる
・腸内細菌叢の調節する
などが挙げられます。
整腸剤は原因不明の急性下痢で効果的で、3~4日続ければ効果が現れます。しかし、本症例の場合、2週間使用しているのにも関わらず、一向に効果がないので、単なる「お腹を下しただけ」とは考えにくいようです。
もっと早めに見切りをつけて、原因疾患が他にあるのではと検索するべきでしたでしょう。

 

手がかり③:体重が減っている
本症例は体重がどんどん減っているとのことです。
体重が減っている時、下痢の原因が小腸にあることが多いです。というのも、小腸の主な役割は胃で消化された食べ物の栄養吸収であるためです。
そのため、小腸で何らかの病変が起こると体重が減ってくることがあるのです。


以上、まとめると
現在の検査結果と状況から、この子の身体の中で何が起こっているかを考察すると、
・感染症とは考えにくい
・よくある軽度な下痢ではない
・小腸で何か問題が起こっている可能性がある
という感じです。

この結果から可能性がある疾患といえば
・炎症:IBD、急性膵炎、胆管炎
・蛋白漏出性腸症
・食物アレルギー
・腫瘍
・甲状腺機能亢進症
などではないでしょうか?

『下痢を止めるためには、どうすれば良いか?』

ようやく本題に入りますが、下痢を止めるためにはどうすれば良いかについてです。
と言ってバシッと答えたいところなのですが、それをするにはまだ検査が足りないように思います。

 

やるべきことは検査です。
何の病気が原因で下痢を引き起こしているかによって、治療方法は変わってきます。

血液検査をスクリーニング
血液検査ではどの臓器に異常があるか、調べることができます。
・胆管炎であればALPが上昇
・急性膵炎であればLipが上昇
・蛋白漏出性腸炎であればAlbとCholの低下
・甲状腺機能亢進症であればALPが上昇
など、感度・特異度がまちまちなので、血液検査だけでは何ともいえませんが、大まかに原因を分けることができます。

超音波検査で裏付けを行う
お腹の超音波検査をしてみたら良いかと思います。この検査を行うと膵炎や胆管炎、腫瘍や異物の存在を見つけることができます。血液検査の結果をある病気の可能性を意識し、超音波検査によって画像上で病変を示すことで裏付けするといった使い方になります。

内視鏡検査と言いたいところだが…
糞便検査に加え、上記2つの検査を行って炎症を疑う所見はあるが、これと言って原因が見つからない。そんな時に行いたいのが全身麻酔下での内視鏡生検です。しかし、この検査では全身麻酔リスクがあります。ここで考えるべきはリスク対効果です。
つまり、危険を犯してまで検査を行う必要性があるのかです。そこを吟味した上で行うべきなら行うべきだし、必要ないならしなくても良いと思います。

内視鏡検査をしないないなら?
もし、麻酔をかけられるほど全身状態が良くなかったり、不安な場合は治療的診断をやってみることです。治療的診断とは特定の病気を疑いそれに対する治療を行ってみて、回復した際にその病気であったと診断できる、いわば山張りをするような診断方法です。 

『下痢が続く際に注意すべきこと』

下痢が2週間以上続いているということなので、注意すべき点は『脱水』です。下痢では水分も多く出て行ってしまいます、特に猫では脱水は腎臓を痛める原因になるので、水分管理はしっかりと行う必要があるかと思います。

『オタ福の考察』

「年齢的には腫瘍の可能性」

あくまで質問内容のみでの推測となりますが、年齢的には腫瘍の可能性が高いですね。猫の腸管腫瘍の好発年齢は12~14歳と言われています。
ただ検査が糞便検査しか行なっていないので、正体は分かりません。
整腸剤で治っていないところを見ると、単なる一過性の下痢ではないと思います。

「甲状腺機能亢進症も捨てられない」

ただ高齢猫では甲状腺機能亢進症というホルモンの病気もあります。
この病気の特徴は多食と体重減少です。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、代謝が上がり、お腹が空いてご飯をたくさん食べるのに痩せていくという不思議な病気です。この病気では下痢も症状としてあるので、今回の場合と一致している点が多々あります。
血液検査を行いALPが上昇している場合は疑いが強くなります。←胆管炎でもALPは上がりますが。胆管炎の場合は脂肪便が出るので、そのような症状からも鑑別できます。

「その他に考察できることは」

逆に食物アレルギーは若年齢での発症が多いので13歳から発症というのはあまり考えにくいと思います。あと、IBDですがこれは現時点で鑑別するのは難しいです。中年齢での発生が多いので、発症するならもっと早いかなとは思いますが。

【最後に:下痢が見られたら】

今回は下痢が見られた際に考える病気とその鑑別方法を中心に考えられる疾患と僕の考察を述べてみました。
下痢はいろんな病気で起こる症状で、原因が様々なだけにちゃんと検査しなければ長引く可能性も十分にあります。

下痢がみられた際は一度病院へ連れて行って、担当医に症状が治まらないということを伝えてみて下さい。

 

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