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あなたの主治医はどう言いましたか?

クッシング症候群の治療薬、ずっと飲み続けなきゃいけないの?

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【はじめに】

今回は『クッシング症候群の治療薬、ずっと飲み続けなきゃいけないの?』という質問をテーマにお話をしていきたいと思います。

クッシング症候群と診断を受けた犬を飼われている方の不安を解消できるような内容になれば幸いです。

 

【目次】

 

【ご質問内容】

13歳の未去勢雄のチワワを飼っています。
クッシング症候群と診断され、現在、アドレスタン®️を一日2回服用中です。
この薬は生涯飲み続ける必要があるのでしょうか?
 

【回答の前に】

『クッシング症候群とは』

クッシング症候群とは副腎からコルチゾールと呼ばれるホルモンが過剰に分泌されることによって引き起こる臨床症状の総称を言います。

コルチゾールが過剰に分泌される原因としては
・下垂体由来
・副腎由来
の2つの原因があります。

「下垂体由来のクッシング症候群」

下垂体由来のクッシング症候群は下垂体のACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を産生する細胞が腫瘍化することで起こります。

ACTHは副腎を刺激し、コルチゾールを産生するように働きかけるホルモンです。このホルモンが過剰に産生されると副腎は体が必要とする以上のホルモンを産生し続けます。

クッシング症候群の約8割がこの下垂体腫瘍が原因となって起こります。

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「副腎由来のクッシング症候群」

副腎由来のクッシング症候群は先ほどのように下垂体から命令を受けてコルチゾールを産生していたのとは異なり、副腎にあるコルチゾールを産生する細胞が腫瘍化しています。なので、下垂体からの命令を無視して、勝手にコルチゾールを産生し続けています。

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『特徴的な症状は?』

クッシング症候群で認められる症状は以下のものが挙げられます。

クッシング症候群の特徴的な症状
・多飲多尿
・多食
・腹部膨満
・気だるさ
・パンティング
・運動不耐性
・筋肉の虚弱化
・両側性脱毛
・皮膚の石灰沈着
・皮膚の菲薄化

特に多飲多尿や多食傾向、腹部膨満、両側性脱毛などは典型的なクッシング症候群の症状なので、よく観察してみてください。

クッシング症候群は9歳以降の中年齢の犬でよく発症します。

『一般的な治療法は?』

一般的な治療法は内科療法が基本となります。中でもアドレスタン®️(主成分:トリロスタン)というお薬が使用されます。

トリロスタンの作用機序
この薬は副腎の細胞でコルチゾールが産生される過程で必要となる3-β-水酸化ステロイド脱水素酵素を競合的かつ可逆的に阻害することでコルチゾールの過剰分泌を防ぐ薬です。

治療の目的
クッシング症候群の治療目的はコルチゾールの過剰分泌によって発生する多飲多尿や腹部膨満、皮膚病などの臨床症状を抑え、QOLを維持することが目的となっています。

なので、根治を目指す治療ではないですし、極論を言うと臨床症状がなければ治療すら必要ありません。

内科的治療が困難な場合
クッシング症候群では内科的な治療ではコントロールが難しかったり、巨大腺腫や腫瘍栓を形成することで、内科療法以外の治療法を選択せざる追えない状況になることがあります。その時は外科治療や放射線治療が必要になってきます。

【回答】

『完全断ち切りは難しい』

治療目的は症状の緩和
クッシング症候群のお薬は基本的にはずっと飲み続ける必要があります。先ほどもお話ししましたが、クッシング症候群の治療目的は『臨床症状の改善』と『QOLの向上』です。副腎や下垂体で腫瘍化している細胞を潰す治療ではなく、コルチゾール産生を阻害することを目的とした治療です。

根本治療ではなく、緩和治療なので、完全に薬を断ち切ることは難しいでしょう。

『状況によっては漸減は可能』

繰り返しになりますが、クッシング症候群はあくまで臨床症状の改善が目的。投薬を開始し、臨床症状が完全になくなった場合は投薬量を徐々に減らしていくこともできます。

その際は血中コルチゾール値やACTH濃度を測定し、薬の効果が効いていることを確認しながら行うとモニタリングしやすいです。

『長期使用の副作用は?』

基本的に状態が安定していれば、重篤な副作用が出ることはほとんどないです。

しかし、投薬量が過剰になり、必要以上にコルチゾールの産生が抑え込まれた場合に起こるアジソン病やネルソン症候群には注意が必要です。

「アジソン病とは」

アジソン病とは副腎皮質で産生されるホルモンが欠乏してしまう病気です。アドレスタンを過剰に投与すると、今度は逆にコルチゾールが欠乏し、体調を崩してしまいます。

そういった観点からも投薬を開始した後は定期的なチェックはとても重要です。

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「ネルソン症候群」

薬によってコルチゾールを抑え過ぎると、今度は逆に体がもっとコルチゾールを作らなきゃと頑張ってしまいます。
その結果、コルチゾールを作る器官である下垂体が大きくなってくる場合があります

下垂体は脳の近くにあるので、大きくなると脳が圧迫されてしまいます。脳が圧迫されると発作や痙攣(けいれん)などの神経症状が出てきます。

こうした反発によって下垂体が大きくなってしまうものをネルソン症候群といいます。 

 

【最後に】

今回は『クッシング症候群の治療薬、ずっと飲み続けなきゃいけないの?』について回答しました。クッシング症候群は腫瘍性疾患であり、治療法は内科療法が基本となります。内科療法はQOL維持を目的とした治療法であり、根本治療ではないため、完全に薬を断ち切るのは難しそうです。

 

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